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執筆者の写真EMI KADOI

そこに鮮度はあるのかという問い


写真を撮っているときは特に何も考えていないのですが、

ひとつ自分に問いかけていることがあるとすればそれは

「そこに鮮度はあるのか?」

ということです。

新しい土地を訪れたり、初めて目にするものに出会うと、人は心を奪われます。

この感動を写真に収めたい、そう思うものです。

旅写真の動機は「新しいものとの出会い」。

その「新しいもの」という切り取り方の中にある「私にとって新しい」を深めていけたらと思っています。


旅をしなくても「新しい」出会いは常にあるもので、私は身近な日常の中にあるそのような「心の動き」を切り取りたいと思のです。

私がよく撮影するモチーフは花、金魚、街。

同じような時期に、同じような場所で撮影する機会が多いです。

一見するとその風景にあまり変化はありません。

でも、前回は気づかなかったもの、今日の私だからこそ目に留められるものがあるはずです。私自身がフレッシュな気持ちで被写体と向き合うと、必ず見えてくる「新しい」もの。

そこが私の写真を撮る「動機」となります。


東京の街は割と変化していますが、とはいえガウディ建築のように好きな建築物が変化し続けているというわけではありません。

いつもそこにある安心できる場所だったりします。

でも、時間や季節によって建物に入り込む光の角度や違っていたり、そこに集まる人によって変わる雰囲気もあります。

この角度が好き、という建物を反対側から見ると違う印象を生み出したり、以前は気に留めていなかった階段や壁のシミが気になったりします。

そういう私の心の動きや目線。注意深く被写体と向かい合う私の在り方。

撮影するときの私の姿勢となります。


ここはもう何度も撮ったから撮影する気にならない。

そう思うことは自分への敗北だと思っています。


同じモチーフを撮影し続けながら私の視点、被写体への理解を深めていきたい。

深めた先にある表現はどのようなものか、それを考えるとワクワクが止まりません。



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